- 2026年10月12日、The New Stackは、OpenAIの創設メンバーの一人で、現在はAnthropicに所属するアンドレイ・カルパシー氏の見解を紹介した。同氏は、世界の大半の人々が最先端AIの能力をまだ十分に理解していないと指摘している。
- カルパシー氏の個人的な推定によると、約60億人は大規模言語モデルをほとんど利用しておらず、10億~20億人が一般的なチャットボットを使用している。約2,000万人はプログラミングや数学に高度なモデルを利用している一方、研究所で最も強力なAIシステムにアクセスできるのは約5,000人にすぎない。
- これらの数字はカルパシー氏による概算であり、統計調査の結果ではない。
- BoxのCEOであるアーロン・レヴィ氏は、この格差はAIの普及がまだ非常に初期の段階にあることを示しており、大半のユーザーは依然としてAIをチャットボットや高度な検索エンジンとして捉えていると述べている。
- レヴィ氏は、複数のAIエージェントが連携して多くのタスクを並行して処理する「agent swarms(エージェント群)」が、企業における重要なAI活用形態になる可能性があると予測している。
- しかし、現在このような方法でAIを利用している人はごくわずかだ。主な障壁には、運用コスト、モデルごとの能力のばらつき、オーケストレーションツールの不足、先進的なシステムへのアクセス制限がある。
- 企業がAIエージェントを大規模に導入するには、データ連携、セキュリティ、コンプライアンス、業務プロセスの変更といった課題にも対応する必要がある。
- カルパシー氏は、簡単な質問に答える無料チャットボットと、ソフトウェアの再構築や複雑な問題の解決に何時間も取り組める高度なAIエージェントとの間には、非常に大きな違いがあると強調している。
- 同氏によると、短期間のうちに、コード補完ツールを使って自分でコードを書く段階から、以前なら数日から数週間かかっていたプログラミング作業をAIエージェントに任せる段階へと移行した。
- カルパシー氏は、この新しい手法を「agentic engineering(エージェント型エンジニアリング)」と呼ぶ。エンジニアは一行ずつコードを書くのではなく、タスクの指示、方向付け、結果の検証に重点を置く。
- カルパシー氏によれば、AIが特に速く進歩する分野には3つの特徴がある。仕事がデジタル環境で行われること、結果を検証できること、そして経済的価値が高いことだ。
- プログラミングと数学は、システムが自ら結果を確認し、誤りを発見し、繰り返し実験することで改善できるため、強化学習との相性が特に良い。
- カルパシー氏のAutoResearchプロジェクトは、このアプローチを示している。AIは1台のGPUを使い、一晩で50回の実験を行い、より良い学習率のパラメーターを見つけ、ソースコードを自動的に更新した。
- カルパシー氏は、AIに短い質問への回答だけを求めていては、技術の潜在能力を十分に引き出せないと考えている。数時間にわたるタスクを任せ、実験と自己調整を可能にすることで、より大きな価値が生まれる。
📌 カルパシー氏とレヴィ氏の見解は、AI時代の重要な格差が、AIを利用するかどうかだけでなく、その能力をどこまで活用できるかにもあることを示している。数十億人がまだチャットボットを使い始めた段階にある一方、ごく少数の人々は、自律的に研究し、プログラミングを行い、複雑な課題を解決できるシステムにアクセスしている。今後は、個々の操作を支援するAIから、連携して一連の業務プロセス全体を遂行するAIエージェント群へと移行していくと考えられる。企業にとって重要なのは、AIの利用スキルを普及させることだけではない。課題の設計、業務プロセスの構築、結果の検証、自律型AIシステムのガバナンスに関する能力も育成する必要がある。

